結婚式準備を進めるカップルが最も直面しやすく、かつ深刻なトラブルに発展するのが「著作権問題」です。現在、全国の結婚式場の87%以上がコンプライアンス順守を徹底しており、無許諾音源を含むムービーの上映を明確に拒否する運用方針をとっています。
一般に広く誤解されているのが、「購入したCDの音源を自作ソフトに取り込んで動画を書き出せば問題ない」「結婚式という私的な場であれば自由に使える」という認識です。これは完全な誤りです。
著作権法上、CDなどの市販音源を映像データと統合(ミックス)してDVDやファイルに出力する行為は「録音権・複製権(著作権法第21条)」および「出版権・著作隣接権」の侵害に該当します。私的複製(第30条)の例外規定は、家庭内やそれに準ずる狭い範囲に限定されており、不特定多数または多数の参列者が集まる式場での上映用ムービー作成には適用されません。
式場内で市販楽曲を合法的に映像と同期して上映するためには、一般社団法人音楽特定利用促進機構(ISUM)を通じて正式な権利処理申請を行う必要があります。申請代行費用は1曲あたり概ね3,000円〜5,000円程度が相場です。
さらに注意を要するのが、Apple MusicやSpotifyなどの定額制ストリーミング配信サービスからダウンロードした音源です。これらの利用規約は「個人利用かつ非営利の再生」に限定されており、商用・非商用を問わず外部ソフトウェアでの映像合成やイベント上映は明確に禁じられています。配信音源を録音ソフトで吸い出して自作したムービーは、ISUM申請の対象外となり、式場への持ち込み審査で確実に跳ね返されます。
「当日1週間前の最終試写で音源の権利侵害が発覚し、映像の差し替えも間に合わず、当日は無音でムービーを流す事態になった」という実例も報告されています。自作音源の選び方においては、ISUM登録楽曲から選ぶか、著作権フリーの高品質ロイヤリティフリー音源を活用することが絶対条件となります。