結論から申し上げますと、浴衣の襟は男女問わず「右前(みぎまえ)」で着用します。ここで多くの初心者が混乱するのが、「右前」という言葉の定義です。日常用語の感覚で「右側が前(手前・上)に来る」と解釈し、右側の身頃を上に重ねてしまうミスが後を絶ちません。
和装における「前」とは、時間的・空間的に「先」を意味します。つまり、「右側の身頃を先に体に巻きつけ、その上から左側の身頃を重ねる」状態を指します。着ている本人から見ると、下前が右、上前が左となり、表面に見えているのは「左側の生地」です。夏祭りの浴衣はもちろん、成人式の振袖、卒業式の袴、冠婚葬祭の留袖に至るまで、着物襟どっちが上という問いに対する答えはすべて共通しています。
現場で指導にあたる着付け技能士が太鼓判を押す、浴衣襟合わせ簡単な覚え方は以下の3点に集約されます。
- 右前右手が入る理由:完成した状態で、右利き・左利きに関わらず「右手」を胸元に差し入れたとき、スッと懐に入るのが正しい合わせ方です。ポケットのように右手が自然に入る構造になっていれば間違いありません。
- 相手から見てアルファベットの「y」:向かい合った相手から見た襟元の交差が、小文字の「y」の筆順(左上が長く、右下に抜ける形状)になっていれば正解です。
- 心臓(左胸)を守る重ね方:左側の身頃が外側に来るため、「心臓に近い左側を外から包んで保護する」と覚えるのも有効な手法です。
この右前左前見分け方さえ頭に入れておけば、外出先で急に不安になった際も、自分の右手を胸元に差し込むだけで数秒で正誤を判断できます。