松の手入れを難しくしている要因のひとつに、庭木として親しまれている「黒松(クロマツ)」と「赤松(アカマツ)」の性質の違いがあります。それぞれ樹勢の強さや枝葉の柔らかさが異なるため、同一の力加減で手入れを行うと失敗を招きます。
海岸近くに自生し、男松(オトコマツ)と呼ばれる黒松は、太く硬い針葉と旺盛な生命力が特徴です。黒松剪定時期においては、春のみどり摘みに加えて、6月下旬〜7月上旬に伸びた枝元を短く切り戻して二番芽を吹かせる高度な「芽切り」技術が用いられることもあります。黒松は芽吹きが比較的強いため、樹冠をぎゅっと引き締めた力強い「段造り(玉散らし)」を維持する剪定が基本です。
一方、内陸の山地に自生し、女松(メスマツ)と称される赤松は、赤褐色の繊細な幹肌としなやかな細い葉を持ちます。赤松剪定やり方では、黒松のような強引な芽切りは禁物です。萌芽力が黒松よりも一段劣るため、春のみどり摘みで芽を弱めに折り、秋のもみあげでも葉を残し気味にする配慮が求められます。赤松の醍醐味である「柔らかく流れるような自然風の枝ぶり」を損なわないよう、ハサミの入れ方も透かし剪定を中心としたソフトな調整が鉄則となります。