多くの人が直面するのが、「楯」と「盾」をどのように使い分けるべきかという疑問です。現代の公文書や新聞報道では原則として常用漢字の「盾」に一本化されていますが、漢字の成り立ちと歴史的背景を遡ると、明確な差異が浮かび上がります。
古代中国の辞書『説文解字』などの記述によると、「盾」は防具の形状そのものを象った象形文字をルーツとしており、敵の刃を防ぎながら隙間から様子を覗き見る防具全般を指します。青銅製、鉄製、革製など、あらゆる素材の防御具を包含する上位概念でした。
これに対して「楯」は、木偏が付加されている通り、「木製で作られた大型のたて」を特異的に指す形声文字として成立しました。古代の歩兵部隊が野戦陣地を構築する際に地面へ並べた「置き盾」や、竹や木を編み込んで作られた防具を指して「楯」と書き分けた歴史があります。