交通工学的な理論値以上に、現場で起きている現象はより切実です。松山市北部に位置する主要生活道路や商業エリアでは、大会当日の午前10時を回ると風景が一変します。
松山市内で20年以上の乗務経験を持つ地元タクシードライバーは、当時の特番取材や業界紙のヒアリングにおいて、次のように現場の混沌とした空気を証言しています。
「ナビに従って裏道や抜け道へ逃げようとする県外ナンバーの車が、本町通りの手前で警察官に止められ、Uターンもできずに住宅街の路地で詰まってしまう光景が毎年繰り返されます。一番悲惨なのは松山北バイパス渋滞です。山越や中央方面から北条へ抜けようとする一般車と、国道196号線から弾き出されたトラックが合流地点で完全にデッドロックを起こし、信号が青になっても1ミリも動かない時間が1時間近く続くことがあります」
SNSや地元掲示板などの投稿を遡っても、リアルな被害報告が多数確認できます。
- 「北条方面の実家に向かおうとしたが、迂回路すら動かず、普段40分の距離に2時間半かかった」
- 「松山環状線が午前11時頃に完全にマヒ。スーパーの駐車場から本線に出るだけで30分以上閉じ込められた」
- 「規制区域内に自宅があるため、ランナーの途切れ目で警察官が横断させてくれるのを待ったが、集団通過中は20分以上待たされた」
コース途中には警察官や大会ボランティアが配置された「歩行者・車両の横断ポイント」が指定されていますが、これはあくまで緊急時やランナーの走行間隔が大きく開いた際に限定された措置です。密集した大集団が通過するピーク時間帯には、歩行者であっても横断が一時ストップされるため、現場での焦りと苛立ちが交通混乱を増幅させています。