「自分軸を大切にしようとすると、周囲に迷惑をかける身勝手な人間になってしまうのではないか」。真面目で責任感の強い人ほど、この誤解に縛られて一歩を踏み出せずにいます。自分軸とわがままの決定的な違いを、倫理面と心理学の視点から明確に区別しておきましょう。
結論から述べると、自分軸は「自分の自由を認めると同時に、他者の自由も等しく認める姿勢」であり、わがまま(自己中心主義)は「自分の欲求を通すために、他者の時間や感情を力ずくで侵害する姿勢」です。
わがままな人は、「私の機嫌をあなたが取りなさい」「私の期待通りに動きなさい」と他者の領域に土足で踏み込みます。一方、自分軸を持つ人は「私はこう考えるけれど、あなたがどう感じるかはあなたの自由です」と、互いの間に健全な境界線を引きます。
心理学者アルフレッド・アドラーが唱えたアドラー心理学における中核概念「課題の分離」は、この違いを見事に説明してくれます。「これは誰の課題なのか?」を冷静に見極め、自分の言動を選択することは自分の課題であり、それに対して相手がどう評価し、どう反応するかは相手の課題に過ぎません。相手の感情に配慮しつつも、相手の課題まで抱え込まない強さこそが、成熟した自分軸の本質です。