春の主役であったスギ花粉の飛散量は、例年4月下旬までに全国の大部分で大幅に減少します。それにもかかわらず、5月に入ってから「目を開けていられないほどの痒み」や「水のような鼻水」が再発する現象には、複数のアレルゲンが複雑に絡み合う明確な医学的根拠が存在します。
臨床医への取材や日本アレルギー学会の報告資料を分析すると、この時期の不調をもたらす原因は主に3つのルートに大別されます。
第1に、カモガヤやハルガヤを中心とするイネ科花粉の急激な立ち上がりです。初夏の陽気とともに道端や河川敷の雑草が一気に開花期を迎え、都市部・郊外を問わず生活空間にアレルゲンを放出し始めます。
第2に、ヒノキ花粉の残存飛散です。「ヒノキ花粉はいつまで飛散するのか」という疑問に対し、民間気象会社や環境省の花粉観測システムが示す実測値では、例年5月上旬から中旬頃まで微量ながらもアレルギー症状を誘発するレベルの飛散が西日本から関東・東北南部にかけて継続しています。スギとヒノキの抗原構造は類似しているため、重症のスギ花粉症患者がヒノキの残りかすに反応し、症状を長引かせているケースが目立ちます。
第3に、地域固有の樹木花粉の存在です。特に北海道や東北北部で猛威を振るうシラカンバ花粉症は、まさに5月が年間のピーク時期に該当します。スギが自生しない北海道において花粉症といえばシラカンバを指すほどであり、本州からの転勤者や旅行者がゴールデンウィーク前後に激しいアレルギー発作を起こす事例が頻発しています。