共同住宅特有の課題を解決する知恵も確立されています。マンションやアパートで最も頻出する悩みが「上階に住む他人が神棚の上を歩いてしまう問題」と「賃貸の原状回復義務」です。
階上がある集合住宅では、天井に「雲」「空」「天」と墨書した半紙、あるいは木彫りのプレートを貼り付けます。これがいわゆる神棚の雲の文字が必要な理由です。「この天井より上には雲が広がり、果てしない天原が続いているため、足音や人の気配は存在しない」という見立て(擬制の結界)を行うことで、上階の生活動線による無礼を精神的にリセットする知恵です。文字の上部が神棚の正面(南または東)を向くように、天井へ両面テープや剥がせる糊で固定します。
また、神棚リビング設置の注意点として、家族が集うリビングは日当たりも良く最も適した空間である一方、テレビの真上やエアコンの吹き出し口直下はNGです。テレビの電磁波や騒々しさ、エアコンの直風による神札や榊の乾燥・汚れは「静謐な祈りの場」を損ないます。
壁に大きな穴を開けられない賃貸住宅では、神棚賃貸で穴を開けない設置方法が普及しています。石膏ボード用の極細ステンレスピン(壁美人など)を採用したシェルフ型神棚であれば、画鋲程度の極小針跡で数キロの耐荷重を確保できます。タンスやサイドボードの上に白木の一枚板を敷き、その上に自立式のモダン神札立てを据える「置き型」を選択すれば、壁を一切傷つけることなく格式を保てます。