SNSやネット上の相談掲示板で非常によく見られる混乱が、「推定体重に大きな差があるからTTTSに違いない」という誤認です。一絨毛膜双胎における体重差の原因として、TTTSと明確に鑑別しなければならないのが選択的胎児発育不全(sIUGR:selective Intrauterine Growth Restriction)です。
sIUGRは、胎盤の吻合血管による急性・亜急性の血流偏重ではなく、「そもそも胎盤の面積の割り振りが不平等であること」や「へその緒が胎盤の端に付着している(辺縁付着・卵膜付着)」ことによって生じます。胎盤の取り分が小さい児(発育不全児)は週数相応に育たず、体重差(不一致率25%以上など)が開きます。
TTTSとsIUGRの鑑別の要諦は、「受血児側に羊水過多(DVP≧8cm)が存在するか否か」です。sIUGRでは、小さい胎児の羊水が少なくなることはあっても、大きい側の胎児の羊水量は正常範囲にとどまります。羊水過多を伴わない体重差はTTTSではありません。ただし、sIUGRの経過中に血管連絡のバランスが崩れてTTTSを続発するケースや、TTTSの手術後に胎盤面積の差が浮き彫りになるケースもあるため、専門医による臍帯動脈血流波形の型分類(Type I〜III)を含めた綿密な観察が続けられます。