ネット上のギターコード解説や掲示板では、しばしば「この曲はビートルズのパクリに過ぎない」「適当にアコギをジャカジャカストロークすれば雰囲気が出る」といった浅い言説が散見されます。しかし、スタジオ・エンジニアリングの視点から紐解くと、そこには驚くべき音響設計と職人技が隠されています。
1. 謎の金属的カウベル音は「消火器」を叩いていた
ドラムのビートに合わせて「カン、カン、カン」と小気味よく鳴り響く特徴的なパーカッション。長年「ピッチの高いカウベル」や「特殊なアゴゴ・ベル」と誤解されてきましたが、ELOのレコーディング・エンジニアであるマック(Mack)やバンドメンバーの証言によって、「スタジオ内に設置されていた本物の消火器(Fire Extinguisher)をドラムスティックで叩いた音」であることが公式に明かされています。既成の楽器では出せない硬質で抜けるアタック音を追求した結果生まれた、エンジニアリングの閃きでした。
2. 終盤のロボットボイスが告げている言葉の真相
楽曲のラスト、壮大なオーケストラとクワイア(合唱)が押し寄せた後、ボコーダーを通した機械的な音声で「ミスター・ブルー・スカイ……」と呟いて曲が終わると信じているリスナーが世界中に大勢います。しかし、公式のマルチトラック音源やジェフ・リン本人の解説によると、実際に発せられている言葉は「Please turn me over(どうか私を裏返してください)」です。
当時発売された2枚組アナログLPレコードにおいて、この曲は「Side 3(C面)」の最終トラックに収録されていました。つまり、「C面が終わったから、レコード盤をひっくり返してD面を聴いてくれ」というアナログ時代ならではの遊び心に満ちたメッセージだったのです。デジタルのサブスクリプションでしか音楽を聴かない現代において、この事実を知るだけでも楽曲への愛着は一段と深まります。