「雀荘のような自動配牌卓が5万円前後で手に入るなら破格ではないか」——そう考えてネットオークションの入札ボタンに手を伸ばす人は少なくありません。しかし、現場の修理技術者やベテラン愛好家は、安さだけを理由にした衝動買いに強い警鐘を鳴らしています。全自動麻雀卓は、多数のモーター、ソレノイド、搬送ベルト、光学センサー、電子基板が複雑に連動する極めて繊細な産業用ロボットに近い構造を持っているためです。
麻雀卓の内部では、牌を吸い上げるマグネットリングや撹拌アームが常に摩擦と振動に晒されています。中古市場に格安で放出される個体の多くは、雀荘で過酷な24時間営業に耐え抜いて減価償却を終えた「使い古し」か、個人の物置で湿気とホコリを吸い込み放置されていた不動寸前の卓です。外見をクリーニングクロスで磨いただけの個体は、内部のゴムベルトの硬化や配線の断線、電解コンデンサの容量抜けを抱えており、稼働から数時間で牌詰まりやエレベーター停止などの致命的な故障を起こす確率が極めて高いのが実情です。
さらに見落とされがちなのが、全自動麻雀卓の修理費用の高さです。麻雀卓は重量が約40kg〜80kgに達するため、宅配便での安価な返送修理が基本的に利用できません。専門業者に出張対応を頼んだ場合、基本出張費だけで15,000円〜25,000円、ここに技術料と交換パーツ代が加算され、1回の修理で40,000円〜60,000円以上の出費になるケースが日常茶飯事です。格安の5万円で購入した卓が即座に故障し、修理見積もりをとった結果、合計出費が10万円を超えて新品の家庭用卓を買えたと頭を抱えるパターンが後を絶ちません。