塗り薬には軟膏やクリームのほかにも、ローションやワセリン単体など多様な選択肢が存在します。皮膚科医がカルテを見て処方を決定する際、どのような基準でこれらを区別しているのかを把握しておくと、日頃のケアにも役立ちます。
頭皮などの毛髪部や、背中・四肢といった広範囲のケアにはローション剤が選ばれます。水分主体で最も粘度が低く、毛髪に絡みつかずに患部へ到達できるためです。ただし、アルコール成分を含むローションは傷口に強くしみるため、急性期の湿疹には使われません。
また、「ワセリンと軟膏は何が違うのか」という疑問も頻繁に聞かれます。純粋な白色ワセリンは薬効成分を含まない「純粋な基剤そのもの」であり、保湿と保護のみを目的とします。一般的な「軟膏」は、このワセリンなどに抗炎症薬や抗生剤などの有効成分を練り込んだ薬剤を指します。皮膚科では、炎症を鎮める段階では成分入りの軟膏を使い、寛解後のバリア維持にはワセリン単剤へ移行するといった緻密なコントロールが行われています。