多くの宗教2世が報復や身元の特定を恐れて匿名・覆面での発言に留まる中、なぜ小川さゆり氏は顔出しでの告発というハイリスクな道を選んだのでしょうか。そこには、過去の被害を清算するだけでなく、未来の被害者をこれ以上生まないための揺るぎない覚悟がありました。
第一の理由は、「当事者が実名と素顔で語らなければ、教団の欺瞞と被害の深刻さが社会に本気で伝わらない」という強い危機感です。どれだけ陰で被害を訴えても、覆面のままでは「一部の不満分子の狂言」として片付けられてしまう恐れがありました。自らの存在を白日の下に晒すことで、証言の信憑性を極限まで高める選択をしたのです。
第二に、いまなお教団の支配下に置かれ、声を上げることすら許されない全国の宗教2世たちへ向けたメッセージでした。「一人で苦しまなくていい」「外の世界には助けてくれる人がいる」という希望を行動で示すため、彼女は自らを盾にして教団の暗部に立ち向かう覚悟を決めました。この勇気ある決断は、長年タブー視されてきた宗教2世問題の壁を根底から打ち破る契機となりました。