この学年設定に生まれたギャップを解き明かすカギは、作品が誕生した1970年代の特別な出版形態にある。当時、小学館から刊行されていた『小学一年生』から『小学六年生』までの「学年別学習雑誌」に、作者である藤子・F・不二雄先生は各学年の読者に合わせて同時に連載を行っていた。
読者の成長段階に合わせて主人公の精神年齢や道具の複雑さ、ストーリーの難易度を自在に変化させるという、極めて高度な描き分けがなされていたのだ。『小学一年生』ではドラえもんの道具も直感的でシンプルなものが選ばれ、のび太も1年生として登場した。そして後に単行本(てんとう虫コミックス)へ収録される際、主に『小学四年生』向けに描かれたエピソードが中心となったため、原作漫画では4年生というイメージが強く定着したのである。当時のアニメ・漫画出版業界を見渡しても、これほど読者層に細やかに寄り添った柔軟な連載手法は極めて異例であった。