当時、亡命先から自著の反響を知りたがっていたユーゴーにとって、言葉は不要だった。ただ「売れているか?」という疑問だけが頭を占めていたのだ。出版社側も、その意図を完璧に理解していたからこそ、「大ヒットしている!」という意味を込めて「!」とだけ返した。この二人の間には、長年の信頼関係と共通の文脈が存在していた。
もしこれが、見ず知らずの他人からの手紙だったらどうだろう。ただのいたずらや、誤送信として処理されていたに違いない。文脈(コンテキスト)の共有こそが、極限まで省略されたメッセージを成立させる絶対条件なのだ。