物語の大きな転換点となる種田の死。それは事故だったのか、それとも自暴自棄による選択だったのか。読者の間で長年議論が交わされてきたこのテーマには、浅野いにおがコマの端々に忍ばせた緻密な伏線が存在する。
種田が事故に遭う直前に残した言葉や、東京の街並みを一人バイクで走るシーンの表情。彼は社会へ適応することの敗北感と、自分の音楽を世に問う覚悟の間で極限まで揺れていた。芽衣子に連絡を入れ「俺たち、これからも一緒にいよう」と伝えた決意の裏には、少年期の終わりを受け入れる苦痛があった。ラストシーンで芽衣子がギターを抱えてステージに立つ姿は、悲しみの克服ではない。亡き種の生きた証を己の肉体に引き受け、それでも泥臭く現実を歩み続けるという、残酷なまでの「生」への覚悟なのだ。