説得力のある布表現の根底には、常に正確な人体デッサンが存在する。服は単なる表面の飾りではなく、内側にある骨格と筋肉の凹凸に覆いかぶさる立体物だからだ。身体の曲面を無視してシワを描けば、キャラクターの生体感が一瞬で失われてしまう。
この物理的リアリティとアニメ的演出を見事に融合させているのが、世界的アニメーターの吉成曜氏だ。吉成氏の描くファブリック表現は、重量感と張力が一目で伝わる圧倒的な情報量を持つ。布が引っ張られる力の向きを線一本で表現する技法は、多くのクリエイターに衝撃を与え続けている。
また、緻密な作画で知られる株式会社京都アニメーションの作品群でも、衣類の挙動へのこだわりは群を抜いている。風に揺れるスカートのなびき、肘を曲げた際に生まれる生地の溜まり具合に至るまで、極限まで計算し尽くされた陰影表現がなされている。アニメーション制作業界全体を見渡しても、こうしたデッサン力に裏打ちされたシワの描写こそが、作品の世界観を支える強固な土台となっているのだ。