浦安市の産科事情において、ネット上のイメージと医療現場の実情との間に最も大きなギャップが存在するのが「個人産院の少なさ」です。世田谷区や港区、あるいは近隣の船橋市などに比べ、浦安市内には現在、入院・分娩を行える個人経営の産科クリニックが事実上ほぼ存在しません。かつて地域に親しまれていた個人産院が閉院した経緯もあり、市内の分娩機能は大病院に極度に集中しています。
そのため、「高級ホテルのような豪華なフルコースディナーが出る個人産院で産みたい」「エステやアロママッサージ付きの個人クリニックで入院生活を過ごしたい」という希望を持つ場合、市内の大病院では理想との不一致が生じる可能性があります。こうしたニーズを持つプレママは、隣接する市川市や江戸川区、江東区にある有床産婦人科クリニックを選択肢に入れ、通院圏を少し広げて検討しているのが実情です。
もうひとつの大きな盲点が「浦安市内の産婦人科における日曜診療」の誤解です。「24時間いつでも産科救急を受け入れている=日曜日でも通常の妊婦健診を受けられる」と誤解されがちですが、大病院の通常外来診療は土曜午後・日祝日は休診となります。急激な腹痛や出血、破水、陣痛といった緊急事態には当直医が24時間体制で臨戦態勢を取っていますが、平日に仕事を持つパートナーと一緒に日曜日にのんびり妊婦健診を受けることはできません。
この時間的制約を解消する手段として定着しているのが「オープン・セミオープンシステム」です。妊娠初期から妊娠32〜34週頃までの定期健診は、土曜日や夜間診療に対応している身近な婦人科・産科クリニックで受診し、出産が迫った後期以降の健診および分娩そのものを順天堂や東京ベイに引き継ぐ仕組みです。このシステムを利用することで、普段の待ち時間ストレスを大幅に軽減しながら、出産本番は万全の設備が整った総合病院で行うという合理的な両立が可能になります。