ホーエンツォレルン家 現在の動向において、国内外から最も注視されたのが旧東ドイツ地域におけるプロイセン王家 資産の返還請求訴訟です。第二次世界大戦後、ソ連占領地域(のちの東ドイツ)に存在していた一族の城館、数万点におよぶ絵画・工芸品、広大な土地は共産党政権によって無補償で国有化されました。
1990年の東西ドイツ再統一を受け、旧法に基づく補償金および美術品の返還を求めて当主側が法的手続きを開始。しかし、ドイツの補償法には「ナチス体制の樹立または維持に重大な支援(erheblicher Vorschub)を与えた人物・組織には補償を行わない」という明確な除外規定が存在します。
焦点となったのは、ヴィルヘルム2世の長男である元皇太子ヴィルヘルムの戦前の言動でした。元皇太子がナチ党の台頭を公然と支持し、ヒトラーの権力掌握を後押ししたか否かをめぐり、著名な歴史学者たちが招聘され激しい論争が展開されました。現当主のゲオルク・フリードリヒ・フォン・プロイセン氏は当初、正当な権利回復を訴えて数百件に及ぶ訴訟や調停を起こしていましたが、世論の強い反発と歴史検証の進展を受け、係争中の訴訟の多くを取り下げ、公的博物館との長期貸与契約や学術対話を通じた和解路線へと舵を切りました。