宿泊を検討する際、最も多くの人が悩むのが「本館」「別館」「西館」の客室選びです。ネット上の口コミで評価が分かれる背景には、この建物ごとの構造と眺望の明確な差異が存在します。
まず、メディアや旅行パンフレットで目にする「窓から湯畑を一望できる客室」は、主に本館の湯畑側客室(全25室程度)に限られます。昼夜問わず刻々と表情を変える湯畑を見下ろす贅沢な時間は格別ですが、人気が非常に高く、週末や連休は数か月前から満室となるケースが通例です。
一方で、別館や西館は湯畑に面しておらず、山側や中庭、温泉街の路地に面した静かな造りとなっています。ここで注意すべきは館内の移動動線です。歴史ある老舗旅館を増改築してきた経緯から、別館や西館へ向かう際には連絡通路やエレベーターの乗り換えが必要になるフロアがあり、足腰に不安のある高齢者や小さな子ども連れの場合、大浴場や食事処への移動がやや長く感じられる傾向があります。
客室設備に関しては、近年順次リニューアルや畳の張り替え、ベッドルーム化が進められており、清潔感は保たれています。ただし、建物の基本構造には昭和レトロな趣や段差が残る部分もあるため、「新築ホテルのような完全バリアフリー」を求めるか、「老舗の風情と立地」を優先するかで満足度が大きく変わります。
アメニティ面では、環境配慮型のアメニティバー形式が採用されており、浴衣やタオル類、基礎化粧品などの基本備品は充実しています。温泉街の散策用に用意された羽織や湯かごなどの配慮も、現場の宿泊客から高く評価されているポイントです。