SNSのタイムラインを席巻している音源の正体を辿ると、単一の作品だけではなく、いくつかの異なるルーツが複雑に絡み合って現在の一大ミームジャンルを形成していることが分かります。最も広く知られている起爆剤の一つは、海外のトップクラスのビートボクサーが配信や動画企画で披露したおならビートボックスのパフォーマンス動画です。口や唇の微細な振動をマイクに密着させ、人間離れしたパーカッション技術とおならの擬音を融合させたパフォーマンスがRedditやTikTokで転載され、数千万回規模の再生を記録しました。
これと並行して、音楽制作ソフト(DAW)を操るDTMクリエイターたちが、実際のおならの録音素材やフリー効果音をサンプラーに取り込み、ピッチ調整やイコライジングを施して本格的なトラップやEDM、ダブステップのトラックへと昇華させたおならビートのリミックス音源が多数投稿されました。ネット上では「誰の曲なのか?」という疑問が頻繁に交わされますが、実際には特定のメジャーアーティストの単一楽曲ではなく、ネット発のクリエイターたちが制作した音MAD的トラックやフリー音源のマッシュアップがアルゴリズムに乗って拡散されたものです。
流行の経緯を時系列で追うと、まず海外のコメディ系TikTokerがシュールな日常コントのBGMとして使用したことから火がつき、その後、軽快なテンポに合わせてステップを踏むダンスチャレンジや、ペットの決定的瞬間を捉えた動画のBGMとして定着。日本国内でも人気VTuberやYouTuberがリアクション動画を投稿したことで認知度が跳ね上がり、若年層からファミリー層にまで浸透するトレンドへと進化を遂げました。