テレビ業界関係者の間では、鈴木氏のクリエイターとしての才能を否定する声は今なおほとんど聞かれません。現場のフロアディレクターや構成作家からの評判は極めて高く、「演出プランの切れ味が鋭く、編集室での判断スピードが圧倒的だった」「演者の個性を引き出す粘り強さは天才的だった」と口を揃えます。『アウト×デラックス』で共演したタレント陣からも、単なる演出家を超えた“理解者”として慕われていました。
しかし、その華々しい活躍の裏で、制作現場は過酷を極めていました。昼の帯番組『ぽかぽか』の立ち上げに際しては、視聴率の立ち上がりに苦しむなかで連日未明まで編集室に籠もり、企画のテコ入れに追われる日々が続いていたと証言されています。当時の制作スタッフの証言によれば、「常に数字(視聴率)の重圧に晒され、表情に疲労と張り詰めた翳りが見える時期が増えていた」といいます。
東京地裁(矢野直邦裁判官)で開かれた初公判において、法廷に立った鈴木被告は「会社に多大な迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ありませんでした」と消え入りそうな声で頭を下げ、起訴内容を全面的に認めました。かつてスタジオで出演者たちに鋭い指示を飛ばし、豪快に笑っていた名物演出家の影はそこにはなく、張り詰めた糸が切れたかのような衰弱ぶりが傍聴席の関係者の胸を締め付けました。