1989年から日本テレビ系『火曜サスペンス劇場』枠で放送が始まった『小京都ミステリー』シリーズは、まさに伝説の始まりだった。片平なぎさが演じるフリーライターの尚子と、船越英一郎が演じるカメラマンの克也という凸凹コンビが、日本各地の小京都を巡りながら難事件を解決していくストーリーは、瞬く間に茶の間の心を掴んだ。
当時の2時間ドラマ界において、旅情ミステリーというジャンルはすでに存在していた。だが、二人が醸し出す独特の距離感と軽妙な掛け合いは、従来のサスペンスドラマの枠組みを大きく突き破っていた。シリアスな事件現場での張りつめた空気から一転、移動中のコミカルな会話で見せる和やかな雰囲気。この絶妙な緩急こそが、全30作にわたって高視聴率を連発したモンスター番組の原動力だった。