「甲殻類アレルギーがあってもイカは食べられるのか」という問いに対し、生物学的な分類と免疫学的な反応の間には大きなギャップが存在します。学校教育や一般的な知識において、エビやカニは「節足動物門・甲殻亜門」に分類され、イカやタコは「軟体動物門・頭足綱」に属します。外骨格を持つ甲殻類と、骨格を持たない軟体類では、生物としての系統樹は大きく離れているように見えます。
しかし、ヒトの免疫システムは生物の見た目や門・綱の分類ではなく、摂取した食品に含まれる微小なタンパク質の分子構造(エピトープ)を認識して攻撃対象を決定します。日本アレルギー学会のガイドラインや近年の臨床アレルギー学の知見では、エビ・カニアレルギーを持つ人がイカやタコなどの軟体類、あるいはホタテやアサリといった貝類に対してアレルギー反応を示す現象が明確に立証されています。
「エビやカニを食べて口がかゆくなる程度だから、イカなら問題ないはずだ」と過信するのは極めて危険です。消化管や血中で異物と判定されれば、分類上の違いに関係なく、即座に免疫グロブリンE(IgE抗体)が結合し、肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が一気に放出されることになります。