結論から明記すると、歌手GAOの性別は「女性」です。しかし、1991年のプレデビューおよび1992年のメジャーデビュー当時、レコード会社公式のプロフィールでは性別・本名・年齢がすべて「非公表」とされていました。
女性離れした低音のハスキーボイス、骨格の美しさを際立たせるショートヘア、そして男性用スーツを着こなすクールな装いは、リスナーに「美少年の男性シンガーなのか、それともマニッシュな女性なのか」という強い好奇心を抱かせました。ラジオから流れる歌声を聴いて男性だと思い込み、テレビ番組の歌唱シーンを観て驚愕したという当時のリスナー証言は枚挙にいとまがありません。
GAOが初期に性別を伏せていた理由は、「余計な先入観を排除し、純粋に楽曲と声そのもので勝負したい」という制作陣と本人の強い音楽的こだわりによるものでした。女性シンガー=華やかなドレスやポップなアイドル性という当時の定型的なプロモーション枠にはめ込まれることを避け、一人の表現者としての世界観を確立するための戦略的アプローチだったと関係者の証言でも語られています。
この性別論争に決定打を与えたのが、1992年12月31日に放送された『第43回NHK紅白歌合戦』への出場でした。GAOは「紅組」の枠で出場し、全国の視聴者に向けて名曲『サヨナラ』を熱唱。この瞬間、性別が女性であることが公に広く認知されることとなりました。