あやめとカキツバタを見分ける際、遠目から全体を眺めるだけでは判別に苦労します。しかし、花の中心部と足元の環境に視点を切り替えるだけで、誰でも迷わず正確に特定できます。鑑賞時や撮影時にまず確認すべき2大要素は以下の通りです。
第1の決定打は花びら(外花被片)の根元にある模様です。あやめはその名の通り、花弁の基部にくっきりとした「黄色と紫の網目模様(綾目模様)」を持ちます。これが「アヤメ」という和名の語源にもなっています。一方、カキツバタの花びらの根元には網目模様が一切なく、鮮やかな「白色の一本筋(白斑)」がスーッと伸びています。ちなみに花菖蒲の場合は、この筋が「鮮やかな黄色」になっているため、花びらの模様を見るだけで3種の識別が完了します。
第2の決定打は「水辺と乾いた土の生息環境」です。アヤメ科アヤメ属の植物的特徴において、水分要求量は種ごとに全く異なります。カキツバタは完全に水生植物としての適性を持ち、池の浅瀬や湿地、水深数センチの泥の中に根を張って自生します。対照的に、あやめは過湿を嫌い、水はけの良い畑や草原、乾燥した花壇などの乾いた土壌にしか育ちません。「水中に生えていればカキツバタ、カラカラの土に咲いていればあやめ」という現場の自生環境は、最も直感的で狂いのない判断基準となります。