高橋文哉のキャリアを語る上で欠かせないのが、芸能界入りのきっかけとなった「男子高生ミスターコン2017」でのグランプリ獲得です。当時、調理師免許を取得できる高校に通い、将来は料理人を目指していた彼が、応募者約1万人の中から頂点に輝いた瞬間から運命の歯車が大きく動き出しました。
舞台出演やリアリティ番組で注目を集めた後、彼を本格的な役者の道へと押し上げたのが、2019年放送の『仮面ライダーゼロワン』です。本作は「元お笑い芸人の青年が、祖父の遺言により巨大AI企業の社長に就任し、仮面ライダーとして戦う」という、極めて振れ幅の大きい難役でした。コミカルなギャグシーンから、AIと人類の共存に葛藤するシリアスなドラマまで、演技未経験に近い新人が背負うにはあまりにも過酷なハードルが用意されていたのです。
しかし、高橋文哉はこの試練を真正面から受け止めました。1年間の長期撮影の中で、持ち前のストイックさと天性の勘の良さを発揮し、回を追うごとに目の輝きと声の説得力を増していきました。この過酷な1年間こそが、彼の役者魂を根本から叩き直した揺るぎない原点となっています。