本事件の行方を決定づける最大の分岐点が、田村瑠奈被告の精神鑑定結果と刑事責任能力の判断です。捜査段階において、札幌地検は2023年8月から約半年間にわたり瑠奈被告の鑑定留置を実施しました。
鑑定留置の結果、専門医による精神医学的評価を踏まえ、検察側は「善悪を判断し行動を制御する能力(完全責任能力)があった」と結論づけ、2024年3月に殺人や死体損壊・領得・遺棄などの罪で起訴に踏み切りました。事前に刃物やノコギリ、スーツケースを購入するなど、周到な計画性が認められた点が重視された形です。
これに対し、弁護側は真っ向から対立する弁護方針を打ち出しています。弁護側は瑠奈被告に重度の解離性障害や妄想性障害が存在し、事件当時は心神喪失または心神耗弱の状態にあったとして、刑事責任能力の不存在または減刑を主張しています。公判廷では複数の人格が存在するかのような言動や過去の精神科通院歴が証拠として提示される見通しであり、司法精神医学の知見を交えた激しい攻防が続いています。