博覧会終盤に発表されたBIE(博覧会国際事務局)アワードにおいて、日本館は見事に展示デザイン部門の金賞(展示規模2,000平米以上)を獲得しました。日本が同部門で金賞を受賞するのは極めて稀な快挙であり、国際社会に鮮烈なインパクトを与えました。その最大の勝因は、日本古来の食文化と自然への畏敬の念を、圧倒的な没入型エンターテインメントへと昇華させた展示シナリオにあります。
日本館のサブテーマは「Harmonious Diversity(協同する多様性)」。館内は「プロローグ」から「シーン1〜8」までの連続した空間で構成され、来場者はまるで森から川、里山、そして食卓へと続く自然の循環の旅路を歩むように設計されていました。特に世界を驚かせたのが、ウルトラテクノロジスト集団チームラボ(teamLab)が手がけた2つのインタラクティブな空間展示です。
空間一面に広がる無数の円盤スクリーンに稲穂が揺れ、来場者がかき分けながら進むと水紋が広がり蛍や魚が飛び交う「HARMONY」。そして、巨大な円形シアターの壁面を滝のように流れ落ちる四季折々の日本食の画像に来場者が触れると、スマートフォンと連動して詳細な食材知識が手元に届く「DIVERSITY」。デジタル技術を誇示するのではなく、日本の里山が育む生態系や「いただきます」という感謝の精神を詩情豊かに体感させた点が、審査員から芸術的・情緒的なブレイクスルーとして満場一致の賛辞を集めました。
さらに展示のクライマックスに設置された「フューチャー・レストラン」では、円卓に座った来場者に対し、バーチャルの和食配膳演出と本物のエンターテイナーによる「おもてなし」の所作を融合。映像美で精神性を揺さぶり、最後に情緒的な共感を呼び起こす緻密な導線設計が、審査員と一般客双方の心を完全に捉えたのです。