王位継承戦において、ネット上や考察コミュニティで最も熱く議論されているのが「今船内にいるイルミは、実はヒソカ本人が変装しているのではないか」という変装説です。この仮説が急速に広まった背景には、作中の描写におけるいくつかの不自然な描写が存在します。
第一の根拠として挙げられるのが、B・W号で初登場した際のイルミの「自己紹介」の仕方です。読者や旅団に向けて自身の状況をペラペラと説明する様子が、従来の寡黙で無駄口を叩かないイルミのキャラクター像から微妙に乖離しており、「まるでヒソカが演じているかのような芝居がかった口調」に感じられる点が指摘されています。
第二に、ヒソカの念能力である「薄っぺらな愛(ドッキリテクスチャー)」と「伸縮自在の愛(バンジーガム)」を組み合わせれば、骨格の補正や皮膚の質感の再現が可能である点です。死後強まる念によって能力の精度が上がっているヒソカなら、イルミの姿を完璧に模倣することも不可能ではありません。
しかし一方で、変装説を否定する強力な反証も存在します。 もしイルミがヒソカの変装だとすれば、隣にいる実弟カルトが「兄のオーラや癖の違和感」に気づかないはずがないという点です。また、イルミ自身が暗殺者としてヒソカを狩る動機は十分に成立しており、あえて変装という二重のトリックを仕掛ける作劇上の必然性が薄いという意見も根強くあります。
現時点における最も論理的な結論としては、「変装説は魅力的なミスリードであり、本物のイルミがヒソカとの約束に従ってプロの暗殺者として旅団を利用している」という見方が有力ですが、稀代のストーリーテラーである冨樫義博氏の筆筋から一瞬たりとも目が離せません。