求人広告でこれほど明確に使い分けられている両者ですが、バイトとパートの違い法律上の真相を明かすと、日本の労働法規上には両者を区別する条文が1行たりとも存在しません。 労働基準法、そして2020年4月(中小企業は2021年4月)から全面施行された「パートタイム・有期雇用労働法」(正式名称:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)において、定義されているのはただ1つ、「短時間労働者(パートタイム労働者)」という区分のみです。同法第2条では、短時間労働者を「1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比し短い労働者」と規定しています。 つまり、企業が求人票に「アルバイト」と書こうが「パート」と書こうが、法的な位置づけは完全に等しく、どちらも等しく労働法による手厚い権利保護の対象となります。ネット上では「バイトは非正規でパートは準社員に近い扱いだと思っていた」「バイトには残業代が出ないと言われた」といった誤解や悪質な現場の運用例が散見されますが、これらは法的には完全な誤謬(ごびゅう)です。 そもそも、なぜ法的に同一であるにもかかわらず、日本社会ではこの2つの言葉が並立してきたのでしょうか。歴史的・社会学的な経緯を紐解くと、言葉の語源と高度経済成長期の雇用慣行に行き当たります。 「アルバイト」は、戦前の旧制高校生や大学生が学業の傍らで行う家庭教師などの課外活動を指したドイツ語の「Arbeit(労働・研究・仕事)」が語源です。学業や本業の合間に行う一時的な副次的労働というニュアンスを色濃く残して定着しました。一方の「パート」は、英語の「part-time job(部分的な時間で働く仕事)」の略称であり、1960年代以降の高度経済成長期に、人手不足を補うために日中の製造ラインや流通現場へ進出した既婚女性(主婦層)の短時間就労を指す言葉として定着していった経緯があります。 このように、呼称の違いは法令ではなく、企業が「どの属性の労働力を集めたいか」という採用マーケティング上の都合で作り出した慣習に過ぎないのです。
バイトとパートの違いとは?法律の真相と損しない働き方を徹底比較
•
•
1分で読める