店頭では1個400円するクロワッサンが3個詰め合わせで500円、定価数千円のブランド調味料が7割引きといった破格の安さを目にすると、「何か重大な欠陥があるのではないか」と警戒する人も少なくありません。しかし、その安さには食品流通の構造的な理由が存在します。
特にEC通販型の代表格であるクラダシの仕組みと安さの理由には、日本特有の商習慣が深く関係しています。食品業界には製造日から賞味期限までの期間を均等に3分割し、「製造から最初の1/3を過ぎた商品は小売店へ納品できない」「2/3を過ぎたら店頭から撤去する」という1/3ルールが存在します。中身は完全に安全でおいしく食べられるにもかかわらず、流通ルートに乗せられなくなった規格外品やパッケージ変更品、季節限定パッケージの余剰在庫がメーカーに大量に眠っているのです。これらを企業から買い取り、または協賛価格で出品してもらうことで、定価の半額以下という圧倒的なディスカウントが実現しています。
一方で、テイクアウト型のマッチングアプリであるTABETEなどは、飲食店が抱える「日々の天候変化や急な予約キャンセルによる当日廃棄」に着目しています。仕込みにかかった原価を少しでも回収しつつ、丹精込めて作った料理をゴミ箱に捨てたくないという飲食店の強い願いが、ユーザーへの大幅割引提供を可能にしています。
企業にとっても、ただ廃棄処分費用を払って捨てるより、SDGsの食品ロス削減取り組み事例として企業価値を高めながら少額でも売上を立てるほうが経済合理的です。フードロス削減アプリは、単なる安売りではなく、流通の余剰と消費者の節約ニーズを直結させるプラットフォームとして機能しています。