未知関数とその導関数が1次のみで含まれる「1階線形微分方程式」は、電気回路の過渡応答や熱伝導モデルなど、物理工学の根幹を支える領域で頻出します。標準形は \( \frac{dy}{dx} + P(x)y = Q(x) \) で表されます。
この方程式に対して広く知られている1階線形微分方程式の公式が、積分因子を用いた以下の解法です。
\[ y = e^{-\int P(x)dx} \left( \int Q(x) e^{\int P(x)dx} dx + C \right) \]
この美しい公式の背景にあるのが、18世紀の数学者ラグランジュが考案した定数変化法の解法の経緯です。まず右辺がゼロである斉次方程式 \( \frac{dy}{dx} + P(x)y = 0 \) を変数分離形で解くと、解は \( y = C e^{-\int P(x)dx} \) と求まります。ラグランジュは「この定数 \( C \) を変数 \( u(x) \) に置き換えたら、右辺に項がある非斉次方程式も解けるのではないか」という着想を得ました。この定数を変数へと変化させて代入し、相殺関係を利用して解を導き出すアプローチこそが、現代の応用数学でも強力な武器となっている定数変化法です。