この情熱が弾き出す経済的インパクトは、もはや一時の流行として片付けられるレベルではない。市場調査データによれば、国内における推し活経済の市場規模は年間数千億円を超え、旅行、外食、アパレル、ITインフラに至るまであらゆる業界を巻き込む巨大な生態系を形成している。モノを買う「モノ消費」から、体験を買う「コト消費」、そして今や「エモ(感情)消費」の時代へと完全にシフトした。
ライブのチケット代や限定グッズの購入にとどまらず、センイル広告(ファンが出資して出す応援広告)や推しカラーで揃えたアパレル、遠征のための交通費など、ファンのサイフの紐は驚くほど緩い。興味深いのは、可処分所得が必ずしも高くないZ世代や若年層が、食費や固定費を極限まで削ってでも推しへの投資を優先する点だ。「自分の生活を切り詰めてでも、推しの数字(売上や再生数)を押し上げたい」という過熱する購買行動は、経済学の常識を覆している。