トップジンM水和剤を正しく使いこなし、病害を確実に封じ込めるためには、厳格な作業プロトコルを遵守しなければなりません。
まず押さえるべきは希釈倍率です。草花類や野菜類では一般に1000倍〜1500倍、果樹類では1000倍〜2000倍が標準とされています。ここで初心者が陥りがちなのが「目分量による希釈」です。例えば1リットルの散布液を作る場合、1000倍なら薬剤はわずか1.0グラムです。耳かき1杯分のズレが倍率を500倍(過剰による薬害リスク)や3000倍(薄すぎて耐性菌誘発リスク)に狂わせます。住友化学園芸の0.5g小分けパックを活用するか、0.1g単位で計測できる精密デジタルスケールを用意することが防除成功の前提条件です。
次に、薬剤の浸透を左右する展着剤(ダイン、まくぴか等)の混ぜ方です。混ぜる手順を誤ると、凝集が起きて均一に溶けません。基本の手順は以下の通りです。
- 計量した所定量の水をバケツや噴霧器タンクの約8割まで入れる。
- 所定量の展着剤を滴下し、水全体を軽くかき混ぜて表面張力を落とす。
- 別容器に少量の水を入れ、計量したトップジンM水和剤を投入してペースト状になるまでしっかり練り溶かす。
- 溶かした薬剤液を噴霧器タンクに注ぎ入れ、残りの水を加えて規定量にし、全体を均一に攪拌する。
散布時期に関しては、「発病初期の晴天日の朝または夕方」が鉄則です。強い直射日光が当たる炎天下では、薬液が葉に浸透する前に蒸発してしまい十分な効果が得られません。また、散布後数時間以内に雨が降ると成分が流亡するため、天気予報を確認し最低でも半日は降雨がないタイミングを選定してください。
そして最も厳格に守らなければならないのが使用回数の上限です。農薬取締法に基づく登録情報では、作物ごとに総使用回数が「年1回〜3回以内」と定められています。前述の通り、同じ系統の薬剤を年間に何度も散布することは耐性菌を生み出す自殺行為です。春先に1回使用したら、次回は異なる作用機構を持つ薬剤(EBI剤、ストロビルリン系、無機銅剤など)に切り替えるローテーション防除を徹底してください。