1933年(昭和8年)10月22日、神奈川県横浜市に生まれた草笛光子は、現在92歳を迎えています。一般的な高齢社会の枠組みでは「超高齢期」に分類される年代でありながら、背筋を凛と伸ばし、ヒールを履きこなして公の場に登場する姿は、シニア世代のみならず全世代にとっての羨望の的となっています。
近年の彼女の活躍ぶりは目を見張るものがあります。90歳の節目で主演を務めた映画『九十歳。何がめでたい』(前田哲監督)は、作家・佐藤愛子のベストセラーエッセイを実写化した作品で、興行的な成功とともにシニア層の劇場回帰を力強く牽引しました。現場関係者の証言によると、撮影期間中も草笛は一切の弱音を吐かず、長時間のロケや感情の起伏が激しいシーンを完璧にこなしていたといいます。
現在も自宅での暮らしを大切にしながら、単発のドラマ出演、トーク番組への登壇、さらには自身の生き方を綴ったエッセイの執筆など、精力的な表現活動を継続しています。インタビューなどで近況を問われた草笛は、次のように語っています。
「毎日、朝起きて『さあ、今日も生きなくちゃ』と自分に気合を入れるところから始まります。何もしないでボーッとしていると、身体も心もあっという間に錆びついてしまう。舞台やカメラの前に立つ緊張感こそが、私にとって一番の特効薬なんです」
この言葉通り、彼女の活力の根源は「現役の表現者であり続けることへの覚悟」にあります。年齢を言い訳にせず、常に次の表現を模索するプロ意識こそが、90代の奇跡を支える基盤となっています。