吉野山といえば、春の千本桜で全国的に知られる景勝地だ。だが、観光客で賑わう下千本や中千本を通り抜け、さらに坂道を登り詰めた最深部「奥の千本」にたどり着く者は決して多くない。その最奥の森に鎮座するのが金峯神社だ。
ここは古くから吉野山の山岳信仰における極めて重要な霊場として崇められてきた。鬱蒼とした杉林の中に佇む社殿は、華美な装飾を一切排除した無駄のない造りだ。社殿の背後に広がる深い森からは、大地から湧き上がるような強いエネルギーが漂う。訪れた参拝者が「ただ立っているだけで背筋が伸びる」と口を揃えるのは、決して気のせいではないだろう。古代から修験者たちが命懸けの修行を重ねてきた聖地の気が、今なお色濃く残っているのだ。