加味逍遥散が「すごい」と絶賛される最大の理由は、「身体の不定愁訴」と「精神的な激しい乱れ」の両方を1処方で同時に鎮静化できる点にあります。西洋医学では、イライラや不安には抗不安薬、のぼせや動悸には血管拡張薬や自律神経調整薬と対症療法になりがちですが、加味逍遥散はこれらをひとつの連動した病態として捉えます。
東洋医学において、ストレスやホルモンバランスの崩れによって生じる不調は、気の巡りが滞る「気鬱(きうつ)」と、滞った気が摩擦を起こして熱を持つ「気逆(きぎゃく・化火)」が原因とされます。加味逍遥散イライラ不安の理由を解き明かすと、配合されている10種類の生薬が絶妙なバランスで連動していることが分かります。
気の滞りをほぐす「柴胡(サイコ)」「薄荷(ハッカ)」、血を補い巡らせる「当帰(トウキ)」「芍薬(シャクヤク)」、胃腸の働きを整えて水分代謝を助ける「白朮(ビャクジュツ)」「茯苓(ブクリョウ)」に加え、余分な熱を冷ます「牡丹皮(ボタンピ)」「山梔子(サンシシ)」が組み合わされています。この「熱を冷ます2つの生薬(加味された部分)」が加わっているからこそ、カッと頭に血が上るような怒りや、上半身の急激な発汗、胸の苦しさを速やかに和らげることができるのです。
特に加味逍遥散更年期症状改善の臨床現場では、エストロゲンの急激な低下に伴って脳の視床下部がパニックを起こし、自律神経が暴走する病態に対して高い有効性が報告されています。また、黄体期特有の情緒不安定に悩む加味逍遥散PMS生理前効果としても、月経前の1〜2週間のみ頓服的に服用することで、周囲に当たり散らしてしまう衝動が穏やかになったという臨床例が数多く蓄積されています。