国会周辺のデモや地方のタウンミーティング、各党の党首会見を取材すると、野党に対する国民の視線はかつてなく複雑に引き裂かれていることが肌感覚として伝わってきます。
都内のIT企業に勤める30代の男性会社員は、2024年の国民民主党の躍進に共鳴した一人です。「これまでの野党はモリカケや裏金といったスキャンダル追及ばかりで、自分たちの給料や税金の話をしてくれないと感じていた。『手取りを増やす』という具体的な数字を出して与党と渡り合う姿を見て、初めて政治が生活に直結していると実感できた」と語ります。生活者の実感に即した政策を掲げる野党に対しては、若い世代を中心に熱狂的な支持が集まっています。
一方で、地方の農協関係者や中小企業経営者からは慎重な声も根強く聞かれます。「政権交代を掲げるのはいいが、外交や防衛、原発政策で野党間の意見がバラバラではないか。かつての民主党政権交代劇(2009年)の際、基地問題や円高対策で迷走したトラウマが消えない」という本音です。
この有権者の迷いを象徴しているのが、長年議論されてきた野党共闘の経緯と現在です。安保法制の廃止を掲げて立憲民主党や共産党が選挙協力を組んだ時代から、2020年代半ばにかけてその様相は激変しました。日本維新の会や国民民主党は、理念や安保観が乖離する共産党との共闘に明確に距離を置き、経済成長や憲法改正を視野に入れた現実路線を歩んでいます。「打倒自民党」という看板だけで一つにまとまる時代は終わりを告げ、政策ごとに離合集散を繰り返すリアリズムの時代へとシフトしています。