なぜこれほどまでに多くの人々が錠剤に依存するようになったのか。歴史を紐解くと、ノーベル賞を2度受賞した天才化学者ルナス・ポーリングが提唱したメガビタミン療法が大きな転換点だった。彼が強く主張した高用量ビタミンCの病気予防効果は人々に絶大なインパクトを与え、現在の巨大なサプリメント産業を誕生させる決定的なトリガーとなった。
日本国内においても、かつて放送されたNHKスペシャルをはじめとする健康特集番組によって、「特定の栄養素を補えば病気を防げる」という観念が根深く浸透した。市場が右肩上がりに拡大する一方で、科学的な有効性の検証とその客観的な普及の間には、大きな溝が残されたままだ。