関係者からの証言によると、アフレコ現場における庵野秀明監督と松坂桃李の間には、妥協を一切許さない緊張感が漂っていたという。未公開の制作エピソードとして語られるのは、わずか数分のセリフに対して何度もトーンや吐息の混ぜ方を変え、十数テイクに及ぶ試行錯誤が繰り返された点である。
東映株式会社が手掛けた長年の特撮ノウハウと、庵野監督独特のアニメ的かつリアリズムを追求した演出思想。その交差点において、松坂は監督の求める「人間性を捨て去った怪人の哀愁と異質さ」を見事に声だけで表現してみせた。現場のスタッフからは「セリフ一言で空気感を完全に変えてしまう圧倒的なポテンシャル」と称賛の声が上がったという。