白水阿弥陀堂の起源は、平安末期の1160年(永暦元年)に遡ります。建立したのは、平泉を拠点に栄華を極めた奥州藤原氏の初代・藤原清衡の娘である「徳姫(とくひ)」です。
徳姫はこの地を治めていた岩城郡の大領・岩城則道(いわきのりみち)に嫁ぎましたが、夫に先立たれてしまいます。深い悲しみに暮れた徳姫は出家して「徳尼」と名乗り、亡き夫の追善供養のために建てたのがこの願成寺・阿弥陀堂でした。
「白水」という地名自体にも、故郷・平泉への深い愛着が隠されています。平泉の「泉」という文字を二つに分解して「白水」と名付けたという伝承が残されており、徳姫が平泉の中尊寺金色堂などを念頭に置きながら、遠く離れた夫の地で極楽往生を祈念した証とされています。政略結婚の枠を超えた夫婦の情愛と、平安貴族の美意識がこの奇跡の建築を生み出しました。