水辺で見かける個体がすっぽんなのか、一般的な亀なのかを判断する際、最も分かりやすい指標となるのが頭部と甲羅の構造です。すっぽんと亀の見分け方において、初見で判別可能な2大ポイントが存在します。
第一の特徴が、すっぽんの鼻の形と特徴です。ニホンイシガメやクサガメの鼻先が丸みを帯びた形状をしているのに対し、すっぽんの鼻先はシュノーケルのように前方に細長く突き出た「管状の鼻(豚鼻状)」をしています。この形状は、水底の泥に潜んだまま水面に鼻先だけをわずか数ミリ出して呼吸するための高度な水生適応の結果です。
第二の決定的な違いが甲羅の質感です。一般的な亀の甲羅は骨板の上に硬い角質甲板(ウロコ)が重なり合っており、触ると石のように硬い手触りがあります。一方で、すっぽんの甲羅が柔らかい理由は、進化の過程で骨板の外縁部(軟甲房)が退化し、角質甲板が完全に消失して強靭な「柔軟性のある皮膚(コラーゲン質の皮膜)」で覆われているためです。
甲羅を軽量化して柔軟にしたことで、すっぽんは一般的な亀には不可能な水中での圧倒的な遊泳速度と、泥や砂の中へ素早く潜り込む俊敏性を手に入れました。陸上での防御力を犠牲にする代わりに、水中特化型のスピードと隠密性を極めた進化の産物といえます。