SNSや料理投稿サイトのレビューを丹念に追うと、絶賛の声が大半を占める一方で、「期待したほど甘くなかった」「水っぽくてがっかりした」という投稿が一定割合で存在します。この評価のねじれを生む主因は、追熟期間の不足と旬のサイクルに対する誤解にあります。
かぼちゃは収穫した瞬間が一番美味しい野菜ではありません。収穫直後は果実の中にデンプンが豊富に含まれており、甘みを感じさせる「糖」には変わっていません。風通しの良い日陰で2週間から1ヶ月程度寝かせる(追熟させる)ことで、デンプンが糖へと分解され、余分な水分が蒸散してあの極上のホクホク感と甘さが完成します。
産直売り場や無人販売所で「朝採れ」として並んでいるものは、まだ追熟されていない初期段階のケースが目立ちます。これを買ってすぐに調理すると、デンプンが糖化しておらず水分も抜けていないため、「硬くて甘みが薄い」「ベチャッとする」という事態に陥るのです。ヘタの切り口が白くみずみずしいものは未追熟のサインであり、ヘタ全体がコルクのように茶色く乾いてひび割れているものこそが、完熟・食べ頃の証拠です。
また、旬の時期のズレも見逃せません。関東や本州産の九重栗かぼちゃは7月〜9月が収穫期ですが、美味しく食べられるピークは追熟を終えた8月下旬〜10月。一方、一大産地である北海道産は9月〜10月に収穫され、10月中旬〜12月頃が最も味が乗る時期です。地域ごとの旬と追熟のタイミングを把握することが、ハズレを引かないための防波堤になります。