ファッション好きの間で時折囁かれるのが、「ユニセックスとは名ばかりで、アパレル企業が型紙の製作費を削減するためにメンズ服のタグを付け替えただけではないか」というコストカット説です。
確かにファストファッション黎明期の一部商品には、メンズラインの余剰生地を使い、そのままユニセックスと銘打って販売する粗雑な事例が存在しました。しかし、服飾のプロを育成する専門学校の教育現場や、近年のドメスティックブランドのパタンナーが明かす実情は大きく異なります。
現代の完成されたユニセックスウェアは、「男性が着れば適度な落ち感のあるモダンなシルエットになり、女性が着れば身体のラインを拾わず華奢見えする」という高度な二面性を計算して型紙が引かれています。具体的には、バスト部分に女性服特有のダーツ(立体縫製のためのつまみ)を入れない代わりに、背中のヨーク幅を広げて生地を贅沢に使い、自然なドレープ(揺れ感)によって凹凸をカバーする設計が施されています。
また、ボタンの掛け合わせ(前立て)の向きもかつての常識が覆されています。伝統的に「メンズは左前(右手で留める)」「レディースは右前(左手で留める)」と厳格に分かれていましたが、現在のユニセックスシャツの多くは、国際標準である左前で統一されつつ、襟の開き角度を男女どちらの首回りにも馴染む比率(約65〜70度)に調整されています。単なるコスト削減ではなく、性差を超えた新しいプロポーションの探求がパターンメイキングの現場で進められています。