大人の間で夏休みの話題になると、しばしば巻き起こるのが「夏の友」派と「夏休みの友」派の名称論争です。この呼び名の違いは、個人の記憶違いではなく発行元の組織体系と地域性に起因しています。
歴史を紐解くと、これらの冊子の原型は戦後間もない昭和20年代前半に誕生しました。戦後の混乱期において、長期休暇中に子どもたちの学力が著しく低下することを防ぎ、家庭でも健康的な生活習慣を維持できるよう、各地の有志教員や教育研究団体が手作りのプリント集をまとめたのが始まりとされています。
その後、地方の教育委員会、教育研究所、日本教育公務員弘済会(教弘)の地方支部、あるいは各地の教科書供給所や地方出版社などが編集・発行を担うようになりました。文部科学省が全国一律で定めた教科書ではなく、各都道府県や市町村の教育研究会が独自に編集する地域限定教材として発展したため、地域によってタイトルの差異が生じました。
一般的に、東日本や中部・近畿の一部では「夏の友」、西日本や九州エリアでは「夏休みの友」や「夏休みの友だち」と命名される傾向が見られます。地元の郷土史、地域の自然観察マップ、伝統行事の解説など、その都道府県ならではのオリジナル記事が掲載されていたのも、地域密着の教育機関が編纂していたからこその特色でした。