犬が口を舐める心理とは?愛情表現の裏に潜む感染症リスクと正しい対処法

犬が口を舐める心理とは?愛情表現の裏に潜む感染症リスクと正しい対処法

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インターネットの掲示板やSNSの一部では、いまだに「犬の唾液にはリゾチームが含まれているため殺菌作用があり、舐められても傷口が治る」「昔から犬に顔を舐められて育ったが何ともないから安全」といった、極めて危うい俗説が散見されます。

この言説の背景には、犬が自分の傷口を舐めて手入れする習性があります。確かに犬の唾液中には微小な殺菌ペプチドや酵素が含まれていますが、それは自らの治癒を助けるための極めて限定的な防御機構に過ぎません。それらの微量な酵素の作用を完全に凌駕(りょうが)するほど、口腔内には前述のパスツレラ菌や嫌気性菌が密集しています。

感染症学会の臨床報告でも、怪我をした部位を愛犬に舐めさせた結果、患部が急激に壊死し、緊急切開手術を要した事例が多数記録されています。さらに現代の犬は、高品質なドッグフードやウェットフードを摂取していることで歯石が沈着しやすく、3歳以上の成犬の約8割が歯周病を患っているとされています。歯周病菌が充満した唾液が清潔であるはずがありません。

「今まで大丈夫だったから今後も平気」という論理は、単に個人の免疫力によって発病が抑え込まれていただけの偶然に過ぎません。加齢、日々の過労、睡眠不足、あるいは季節の変わり目の免疫力低下など、体内の防壁がわずかに崩れた瞬間に日和見感染として牙をむくのが、犬の口を舐める病気や感染症の最も恐ろしい実態です。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。