この特異なゲームジャンルは、どこから生まれたのでしょうか。その歴史を遡ると、イギリスの作家でありビジネスコンサルタントでもあるポール・スローン(Paul Sloane)氏が1990年代初頭に発表した書籍群に行き着きます。
当時、マルタの心理学者エドワード・デボノが提唱した「水平思考(Lateral Thinking)」の概念を、一般読者がパズル感覚で体験できるようにアレンジしたのがスローン氏でした。彼の著書『Lateral Thinking Puzzles』には、読者の思考の盲点を突く短編シチュエーションが多数収録されており、これが今日の水平思考クイズの原型となっています。
一方で、ウミガメのスープ元ネタそのものに関しては、スローン氏の創作以前から船乗りの間で囁かれていた都市伝説やブラックな小噺(フォークロア)が母体になっているという説が有力です。極限の海洋遭難においてカニバリズム(人肉食)が発生した歴史的実例(1884年のミニョネット号事件など)が、教訓めいた謎解きとして口伝され、スローン氏らによって洗練されたパズルへ昇華されたと考えられています。
ピクシブ百科事典などのサブカルチャー資料でも整理されている通り、日本では2000年代初頭のインターネット黎明期に「2ちゃんねる」のオカルト板やクイズスレッドで紹介され、爆発的な広がりを見せました。近年では集英社ゲームズが『ゴールデンカムイ』の作中エピソードと掛け合わせた『ゴールデンカムイ ヒグマのスープ』を商品化するなど、現代のコンテンツビジネスにおいても強力な知財として再解釈され続けています。