かつて特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)と並び、介護保険3施設の一角を占めていた介護療養型医療施設。その廃止が決定された背景には、日本の医療・介護保険制度が抱えていた構造的な歪みがありました。
最大の要因は、医療保険適用の「医療療養病床」と介護保険適用の「介護療養病床」の機能重複および社会的入院の常態化です。本来であれば急性期治療を終えて退院できる状態であるにもかかわらず、家庭環境や受け入れ先の不足から長期入院を続ける患者が多く、医療費および介護給付費の急増を招いていました。
さらに、病院の病棟構造を引き継いでいた従来の施設形態では、1人あたりの床面積が狭く、カーテン1枚で仕切られた大部屋が中心でした。人生の最終段階を過ごす場所として「プライバシーが確保された生活の場」とは呼び難い療養環境も、抜本的見直しの強い動機となったのです。国は医療と介護の役割分担を明確にし、利用者の尊厳ある暮らしを守るため、介護療養病床の段階的廃止に踏み切りました。