国会で意見が対立した際、最終的に衆議院の決定が優先される仕組みを「衆議院の優越」と呼びます。これほどまでに衆議院に強い力が与えられている理由は、衆議院の方が国民の最新の民意を直接反映していると見なされるからです。
衆議院には解散があり、任期も短いため、国民の審判を受ける頻度が参議院よりも圧倒的に多くなります。民意の変化に敏感な衆議院の意思を尊重しなければ、迅速な国政運営が滞ってしまうリスクがあります。憲法が定めている具体的な衆議院の優越は以下の通りです。
最も強力な権限が内閣不信任決議権であり、これは衆議院のみに認められています。内閣を総辞職に追い込む、あるいは解散総選挙で国民に信を問う権利は衆議院だけの特権です。
また、首相指名(内閣総理大臣の指名)における衆議院の優越も極めて重要です。両院で異なる候補が指名され、両院協議会でも意見が一致しない場合、衆議院の指名した人物が総理大臣に選出されます。
さらに、国の財政に関わる予算先議権の仕組みにより、予算案は必ず衆議院へ先に提出されます。予算や条約の承認に関しても、参議院が受け取ってから30日以内に議決しない場合は衆議院の議決が国会の議決となります。法律案の議決で両院の意見が割れた場合でも、衆議院が出席議員の3分の2以上の賛成で再可決すれば法律を成立させることができます。